| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-079

堰の高さと直下水深が回遊魚各種の遡上に与える影響

*鹿野雄一,山下奉海,島谷幸宏(九大工)

海と河川を往来する通し回遊魚は、河川に設置された堰や落差によって遡上を妨げられ、その分布を強く制限されていると考えられる。しかし堰にも様々あり、具体的にどのような落差構造が魚の遡上を阻害しているのかは明らかではない。そこで本研究では佐渡ヶ島の35の小河川105地点において、回遊魚各種の分布と堰の詳細(高さ・直下水深)を調べた。そのデータを用いて解析を行い、各魚種(アユ、シマヨシノボリ、ルリヨシノボリ、トウヨシノボリ、ウキゴリ、シマウキゴリ、スミウキゴリ、ミミズハゼ、チチブ、アユカケ、カンキョウカジカ)が具体的にどれほどの堰の高さおよび直下水深によって分布を阻害されているのかを明らかにする。

解析は、GLMとAICを用いたモデル選択を行った。独立変数には、堰の遡上阻害率・川幅・水深・流速・河畔林・水際植生・川底礫サイズを用い、従属変数は個体群密度とした。堰の遡上阻害率は、堰の高さと直下水深からなる合成変数で、その魚種の遡上が阻害される堰の高さや直下水深の閾値を段階的に変動させ、最もAICが低くなるようなベストモデルを探索した。

以上の解析法により、たとえばアユは高さ100cm以上・直下水深10cm以下、アユカケは高さ50cm以上・直下水深5cm以下の堰によって遡上を妨げられていることが明らかになった。


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