| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-087
野生動物の保護管理を行う上では、個体群の管理が想定どおり進んでいるかモニタリング・評価するために、個体数の年変動を把握することが不可欠である。しかし、大規模な個体数調査を毎年継続して実施いくことは予算確保などの制約から現実には不可能である。そこで、いくつかの自治体では、鳥獣保護法で報告が義務化されている項目(鳥獣の種類ごとの捕獲場所と捕獲数)以外にも、独自の報告様式を用いることにより、出猟人数や目撃数などの追加的な情報も収集し、個体数の把握に利用している。
このような狩猟情報からは、CPUE(単位努力当たりの捕獲数)やSPUE(単位努力当たりの目撃数)を算出することができ、これらを個体群の密度指数として年変動を捉えることが可能である。しかし、CPUEやSPUEは、時空間的に環境条件などの様々な要因の影響を受けて、本来の年変動を反映していない可能性があり、年変動以外の要因による効果を取り除いてやる必要がある。水産資源管理の分野でも、CPUEのトレンドを追うことで年変動を捉えることをしばしば行うが、漁業からの情報に依存しているため同じ問題を抱えている。この問題に対処するため、水産資源学ではCPUEをGLMなどでモデリングするアプローチ(“CPUEの標準化“と呼ばれる)が以前からとられている。
本発表では、擬似的に発生させた例題のデータを使い、実際にCPUEの標準化を行って、このようなアプローチで狩猟情報から個体数の年変動を推定できないか考察する。