| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-133
近年、人々にとって身近な存在であったホタル類の減少が著しい。本研究では、生息分布と環境要因から、ヘイケボタル生息適地を明らかにし、今後の生息地保全や都市計画策定の際の情報となりうるモデルを作成することを目的とし、葉県北総地域に位置する都市近郊域の谷津で野外調査を行った。
ヘイケボタルの詳細な分布を明らかにするため、夜間のルートセンサスによる調査を行い、1谷津を1地点として、66地点で行った。その結果32地点で生息が確認された。このうち最大目撃個体数は133匹であった。次に分布情報と以下の環境要因から一般化線形モデルによって、ホタルの有無とホタルの目撃個体数を説明するモデルの作成を試みた。1)は、ホタルの有無を目的変数、水田の土壌水分量、畔の土壌水分量、街灯の有無、湧水の有無、谷津内の水田面積、谷津内の休耕田面積を説明変数とした。2)は、ホタルの目撃個体数を目的変数、水田の土壌水分量、畔の土壌水分量、街灯の有無、湧水の有無、谷津内の水田面積、谷津内の休耕田面積を説明変数とした。AIC値を基準にモデル選択を行った結果、1)は、畔の土壌水分量、街灯の有無、湧水の有無、谷津内の水田面積、谷津内の休耕田面積が影響を与えていた。また2)は、水田の土壌水分量、街灯の有無、湧水の有無、谷津内の水田面積、谷津内の休耕田面積が影響を与えていたということが明らかとなった。今回の環境要因は、冬季の幼虫の生息に焦点を当てているため、今後はさらに、他の生活史段階における生息環境要因を選定し、モデルの精度向上を目指す予定である。