| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-139
兵庫県では「ツキノワグマ保護管理計画」に基づき、有害個体に対する忌避条件付け放獣が行われている。本研究では、忌避条件付けが、ツキノワグマの行動に影響を与えているのかを明らかにするために、放獣後1ヶ月間の人為的環境利用と忌避条件付けの関係について検討した。忌避条件付け放獣の効果を検証することは、手法の改善に重要な知見を与えるだけでなく、放獣への合意を得る際の重要な情報として活用することが可能となる。
2005年から2008年までに有害捕獲もしくは錯誤捕獲された個体のうち、忌避条件付け有り個体11頭、忌避条件付け無し個体6頭を解析対象とした。各個体には、GPS首輪を装着し、捕獲地点から放獣地点まで移動後、各処理を行ってから放獣した。各個体の利用環境を、環境省自然環境局生物多様性センターの発行する植生図をもとに、人為的環境、その周辺、それ以外の三段階に分類し、人為的環境利用と忌避条件付けの関係について、SAS/STAT9.2のGLIMMIXプロシジャーを用いて、累積ロジットモデルによる回帰を行った。説明変数には、忌避条件付けの有無の他に、人為的環境の利用に影響を与える可能性が考えられる時間帯、性、堅果類の豊凶、季節、過去の捕獲回数、及びそれら2次までの交互作用を使用し、変量効果に個体差を使用した。
本大会では、赤池情報量規準(AIC)によるモデル選択の結果、得られたモデルから効果が認められたものについて検討する。