| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-141

海洋酸性化がサンゴの石灰化に与える影響-精密pCO2制御装置を用いた近未来予測-

*大木駿(琉大・理工),井口亮(琉大・熱生研),井上麻夕里(東大・海洋研),小崎沙織(東大・海洋研),中村崇(九大・理),鈴木淳(産総研),酒井一彦(琉大・熱生研)

近年、地球温暖化と並び海洋酸性化が海洋生態系に影響を与えることが懸念されている。大気中の二酸化炭素分圧(pCO2)の上昇に伴って、海水中に溶け込む二酸化炭素量が増加するため、海水中のpCO2も上昇する。pCO2の上昇は炭酸系の平衡を移動させ、海水のpH低下を引き起こす。IPCC第4次評価報告書(IPCC,2007)の中には、現在約400ppmの大気中の二酸化炭素分圧が、約1000ppmにまで上昇するという予測がある。海水のpCO2の上昇に伴うpHの低下は、貝やサンゴなどの石灰化生物の殻や骨格の形成に大きな影響を与えると考えられる。

これまでに行われてきた海洋酸性化の実験の多くでは、酸・アルカリ添加によってpH調節が行われたため、pCO2の上昇によって起こる海洋酸性化の影響を厳密に評価できていないと考えられる。また、二酸化炭素の添加によってpHを調節した実験でも、精密にpCO2を調節している研究は少ない。

本研究では、海水中のpCO2を数十ppm単位で精密に制御することのできる、精密pCO2制御装置(AICAL装置)を用いて、産業革命以前から将来予測されているpCO2環境(300ppm、400ppm、600ppm、800ppm、1000ppm)を設定し、実験を行った。南西諸島で広く見られる造礁サンゴ、コユビミドリイシAcropora digitiferaの枝片を用いて、これら5段階のpCO2条件で4週間飼育し、酸性化海水がコユビミドリイシの石灰化にどのような影響を及ぼすのかを評価した。

キーワード:海洋酸性化・造礁サンゴ・コユビミドリイシ・石灰化・pCO2


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