| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-152
コウノトリ(Ciconia boyciana)の野生復帰に向けた試験放鳥が、兵庫県豊岡市で2005年から始まった。野生復帰が成功するためには、本種が野外で持続的に繁殖できることが重要であり、生存のために不可欠である採食生態について明らかにする必要がある。本研究では、野外で生息する個体を1日追跡し(2008年3月(田植え前)と6月(田植え後))、採食生態(採食時間、環境、餌種)について調査した。
1日あたりの活動時間は、3月では12時間39分(5:40〜18:19)、6月では15時間5分(4:09〜19:14)であった。その内、採食時間の割合は、3月で42.6%、6月で48.3%であった。この採食時間には、追跡の途中で個体を長く見失った時間(3月: 1時間41分、6月: 1時間57分)が含まれていないため、実際の採食時間より短いと推測された。採食に利用していた環境は、3月、6月とも水田地帯が最も多く、3月は田面を51.1%、水路を38.0%利用していた。6月は、ほとんどが田面での採食であった(93.8%)。採食した餌種について、体サイズの小さい餌生物はビデオ撮影した映像を解析した際に判別できないものが多く、映像から判別できたものの中で3月は主にドジョウ、アメリカザリガニ、6月は主にカエル類幼生の採食を確認した。