| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-155

住民参加型Web-GISを活用した地域環境データベースの実践開発

*三上光一,永野昌博(十日町市立里山科学館)

里山と呼ばれる中山間地の自然環境は人の生活との関わりの中で形成される環境の多様さにより多くの動植物の生息域となっている。それらの自然環境は気候変動のような地球規模の環境変動だけでなく、地域におけるライフスタイルの変化、土地利用などの住民の生活に関わるさまざまな要因により変化を続けている。地域の生物とそれを取り巻く自然環境の全情報を収集し、データベース化する事が出来れば、地域内で起こっているさまざまな事象のモニタリングが可能となり、里山景観と生物多様性の保全の基礎情報となる。また、それは、自然環境資源を活用した地域づくりや環境教育、地域の観光資源として利活用などの地域活性化の基盤となりうる。しかし、地域の全ての自然環境情報を自治体や研究教育機関などが独自に調査し、データベース化し、さらにそれを継続することは多くの人的コストが必要となり、実現する事は非常に困難である。一方で地域に暮らす人々はそれぞれの暮らしの中で地域の自然環境に関するさまざまな情報を無意識に発見し、記憶に留めている。そのため、地域の自然環境データベース構築には住民が持つ自然環境情報を継続的に収集し管理する情報システムの開発と住民の主体的な参加を促す仕組みづくりが必要である。

そこで、本研究では、多くの地域住民が独自にweb上で多種多様な地域情報を発信している事に着目し、情報の主体的な発信者となりうる地域住民にブログ(Weblog)を提供し、そこでの情報発信が地域環境データベースとして統合されるWeb-GIS「Webダイジンガー(http://www.daizinger.jp)」を開発した。そして、中山間地に位置する人口5万人規模の自治体(新潟県十日町市)を対象に実践検証を行い、その有効性と課題について明らかにした。


日本生態学会