| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-275

奈良県春日山照葉樹林における風倒木の分解

米田健(鹿児島大・農)

パッチダイナミックスによる森林のモザイク構造が,炭素代謝の空間変動に及ぼす影響評価を本研究の目的としている.本発表では,ギャップ発生後の初期10年間におけるギャップ内枯死材の分解率について報告する.台風撹乱が更新に大きな影響を与えている奈良県春日山照葉樹林において,1998年9月の台風9号により発生した0.3haのギャップ内被害木を対象とした.被害木の胸高断面積合計の半分がモミでついでコジイが多かった.分解率は枯死材の容積密度の減少率から推定した.容積密度の観測は,クギ抜き法とデジタルマイクロプローブ法の2種を併用し,99年,01年,04年,06年,09年に実施した.ギャップと閉鎖林冠下間の分解率の比較を目的とし,本ギャップを含む6haの林分で市販の木片を供試材としたリターバッグ実験を,ギャップ発生8年後にあたる06年から1年間の期間で実施した.リターバッグ実験結果では,ギャップ内と閉鎖林冠下の間で分解率には有意な差が認められなかった.ギャップ内の台風被害枯死木の分解率は,枯死状態(立枯れ,倒木),種間,個体間,個体内の部位により異なった.これらの変動性について内的・外的要因との関係から解析した結果を報告する.


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