| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-295

葉群画像モニタリングによる半自然ススキ草原のLAI動態

*関川清広(玉川大),和泉潤(玉川大),中川奈未子(関東国際高校),三上寛了(筑波大),奈佐原顕郎(筑波大)

生態系が炭素のシンクまたはソースとして作用することから,地球温暖化のような気候変動が生態系の炭素循環機能に及ぼす影響について,世界的に関心が高まっている.短期的には気象要因の年々変動に伴って,生態系の純一次生産(NPP)は変動すると考えられる.これらの関係を解析するには,両者を同時にモニタリングすれば良いが,気象要因に比べ,NPPのモニタリングは技術的に容易ではない.LAI(葉面積指数)はNPP推定の指標として有効であることが知られているため,本研究はNPP推定に資することを目的とし,半自然ススキ草原を対象に,2005年から葉群全天写真法を用いてLAIをモニタリングしてきた.自動魚眼デジタルカメラ(PENシステムの一部,http://pen.agbi.tsukuba.ac.jp/)をPC制御し,生育期間中に毎日5回,葉群の全天写真画像を撮影した.解析に適した曇天時などの画像を選別し,ソフトウェアHemiViewを用いてLAIを算出した.調査地は,筑波大学菅平高原実験センター内(長野県上田市)の草原であり,冷温帯域に位置している.例年,冬期には約1 mの積雪があり,3月中旬から下旬に雪融けが始まり,4月下旬には草原の雪はほぼ融け終わる.本草原の構成植物の生育開始・最盛期やLAIのピーク値などは,冬期の積雪量と雪融けのパターン(春期の地温と土壌水分に影響),梅雨期から夏期にかけての気象パターン(日射量と土壌水分に影響)などによって変動することが期待される.本発表では,2005年から2009年までの5年間の結果について論ずる.


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