| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-296
展葉・落葉の時期の経年変動は、気候変動の影響の指標として、IPCC報告書などでも注目されている。また、展葉から落葉までの期間の長さは、植生の生産量を決める要因のひとつと考えられている。しかし、展葉時期の経年変動に比べて、落葉時期の経年変動の事例やメカニズムの研究は進んでいない。我々は、国内のいくつかの落葉樹林の観測サイトで、展葉・落葉時期を含めた植物季節の観測を、JaLTER, JapanFlux, PENなどの観測ネットワークと協力して、定点デジタルカメラ・分光特性・葉フェノロジー・炭素フラックス観測などによって観測している。その結果、2009年秋の紅葉・落葉の時期は、国内の複数の地点(高山・富士北麓・筑波山)で、他の年(2003年以降)の平均に比べて、早かったことがわかった。人工衛星(Terra/MODIS)による観測でも、本州の広い範囲で、2009年は例年よりも植生指標(GRVI)の値が早く減少したことが確認できた。この原因として、2009年秋の低温や、夏の日照不足など、夏から秋にかけての気象要因の他に、009年春の展葉が早かったことなどが可能性として考えられる。