| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-300

モンゴル半乾燥ステップのGPPに対するC3・C4植物の寄与ー実測とモデル推定ー

*浦野忠朗(筑波大・生命環境), 鞠子茂(法政大・社会), 杉田倫明(筑波大・生命環境), 及川武久(筑波大・生命環境), 廣田充(筑波大・生命環境)

草原は陸域の1/3の面積を占め、アジアの陸域生態系で二番目に大きな生態系である。そのため、地球のCO2動態を評価するために重要な生態系であるが、森林生態系に比べてCO2収支の研究は少なく、CO2収支をコントロールする要因についても十分に評価されていない。しかし、複数の草原生態系で年により年間のCO2の吸収と放出が逆転することが知られており、CO2収支をコントロールする要因の評価が必要とされている。

モンゴルは国土の75%、1170000km2が半乾燥ステップであり、その面積の大きさからCO2の動態はアジアのみならず世界のCO2動態に対して大きく影響すると考えられる。モンゴルのステップは、ほぼ全域でC3・C4混生草原であること、及び長期間放牧の影響を受けているという特徴がある。そこで本研究では、放牧を停止した禁牧区を設置し、2003年と2006年にチャンバー法を用いてC3・C4植物及び群落のGPPを測定した。そして、得られたデータからモデルを用いてC3・C4植物及び放牧の群落GPPに対する寄与について評価を行った。

その結果、2003年、2006年共に禁牧区で放牧区より年間のGPPが大きく、放牧区では禁牧区よりもC4植物のGPPの寄与率が高くなった。また、年間のGPPに対するC4植物の寄与率は、放牧区、禁牧区共にC4植物の地上部バイオマスに対する比率とより大きかった。このことは、北方に位置し、年平均気温が低いモンゴルのステップにおいても、C4植物の生育にとって有利な環境であるといえる。そのため、家畜の頭数の増加と気温の上昇が指摘されているモンゴルのステップにおいては、今後C3植物とC4植物のバイオマス及びGPPのバランスが変化する可能性が指摘される。


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