| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-324

魚眼デジタルカメラ画像による草原のLAI推定

中川奈未子(関東国際高等学校),三上寛了(筑波大・院・生命環境),和泉潤,関川清広(玉川大・農),奈佐原顕郎(筑波大・農林工学)

LAI推定法には、サンプリングによる直接法(破壊的)、葉群内の光の減衰や全天写真画像の解析に基づく間接法(非破壊的)などがある。草原では両手法間の比較検証が容易であり、間接法によるLAIは直接法に比べ過小評価であることが知られている(関川ら、2007)。

中川ら(2008)は、草原において、さらに次のことを明らかにした。(1)全天写真画像を用いてLAIを推定する場合、天空に近い露出である(露光時間が短い)葉群全天写真画像を用いることにより、より直接法のLAIに近い値を得ることができる。(2)このLAI推定値に対する露光時間の効果は、生育期間の初期(5〜6月)には見られないが、葉群が鬱閉する7月以降にはより効果的である。

中川(2008)は比較的均質な葉群を対象としたことから、本研究では、葉量の違いが露光時間とLAIの関係に与える影響について検証することを目的とした。

筑波大学菅平高原実験センター内のススキ草原に、葉量の違いにより3ヶ所のコドラートを設置し、さらに各コドラート内に4ヶ所の調査プロットを設け、毎月1回の頻度で、魚眼デジタルカメラ画像を用いて葉群全天写真画像を複数段階の露出(露光時間)で撮影し、ソフトウェアHemiViewを用いて画像からLAIの算出を行った。

その結果、葉量の異なる3ヶ所のコドラート間で、天空に合わせた露出の(露光時間が短い)画像から得られるLAIについては、中川(2008)と同様の結果が得られた。したがって、全天写真画像解析によってLAIを推定する場合、葉量の違いにかかわらず、最も短い露光時間で画像を撮影することにより、LAIを適切に推定できると考えられる。


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