| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-325
近年、持続可能かつ環境保全型の農業が注目されている。その一手法として、耕起を行わない不耕起や省耕起栽培が着目されている。不耕起栽培は、土壌侵食の防止や土壌水分保持能力を高めること、また生産コストの削減といった側面もあり、主に米国や南米などで取り入れられている栽培体系である。また一方で、不・省耕起栽培は、土壌の物理性を保護し、土壌炭素を蓄積する効果が期待されている。IPCCのガイドラインでは、土地利用管理の影響評価に、熱帯モンスーン気候では不耕起管理による土壌炭素隔離能力は通常と比較して、1.2倍のファクターが乗じられる事になっている。しかし熱帯アジア地域での不耕起栽培実績は殆ど例が無く、土壌の理化学性などの差異を考慮すると、この算出方法の適用には検討の必要性がある。本研究では、インドネシアの不・省耕起管理による長期連用圃場における土壌炭素動態の変化および理化学性の調査を行った。また、より定量的な炭素隔離能力評価を行うため、Roth-Cモデルの適用可能性を検討した。
試験地は、インドネシアのスマトラ島南部におけるランプン地域に位置する。1987年から本試験地では、一年を穀物 (主としてMaize) −マメ科植物−休閑の輪作体系で作付けされている。処理区は通常耕起、省耕起、不耕起の三処理に加え、N施肥量を変えた0 kg/ha、100 kg/ha、200kg/haの三処理を併せた計9つの処理である。この組み合わせで4繰返しを分割区法で配置した。測定項目は、土壌炭素、土壌の理化学性および作物収量である。
ポスターでは、経年のC動態や作物終了の変化に加え、更にRoth-C modelの適用と併せて、より詳細な報告を行う。