| 要旨トップ | ESJ57 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


シンポジウム S03 -- 3月16日9:00-12:00 G会場

迅速な適応性(第2回)-学習や表現型可塑性がドライブする進化

企画者: 嶋田正和 (東大・総合文化・広域), 三浦 徹 (北大・地環研)

動物は環境の変化に応じて、学習による行動の変化や表現型可塑性による形態・生理の変化を可能にしている。動物が環境変化の刺激を感覚器で受容すると、受容体からの情報がシグナル伝達経路を経て細胞内代謝を変えたり、二次メッセンジャーを介して核内で遺伝子発現の調整がなされる。これにより、形質発現のON/OFFパターンを変えることで表現型可塑性が迅速に可能となり、可塑性の帰結が生理的変化の背景にある遺伝子のプロモーター領域の遺伝的変異への自然選択となって、表現型可塑性は進化する(West- Eberhardによる遺伝的同化)。同様に、学習行動の場合も、行動の帰結として成功・報 酬・失敗などが脳-神経系の記憶ストックにフィードバックされ、記憶の長期化を経て(学習による行動的適応)、間接的に神経細胞の応答に対する遺伝的変異への自然選択により、加速度的に進化を推進する(Baldwin効果)。この過程で、どのような発生機構や生理機構あるいはゲノム構成が、柔軟な表現型改変には必要なのかを探る。

総合討論

 コメンテーター1名

[S03-1] 迅速な適応性:学習によるBaldwin効果がドライブす る進化 嶋田正和 (東大・総合文化・広域)

[S03-2] 珪藻における表現型可塑性の人為選抜実験系の構築 ○城川祐香・若本祐一・嶋田正和 (東大・総合文化・広域)

[S03-3] 2種大腸菌による栄養共生への迅速な適応とその遺伝子発現変化 ○細田一史・四方哲也 (阪大・情報科学)

[S03-4] 柔軟な表現型改変を支える発生・生理機構 三浦 徹 (北大・地環研)


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