| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


企画集会 T24-4

日本産樹木DNAバーコーディングの現状ー収集と解析ー

吉丸博志(森林総研)

植物におけるDNAバーコーディングでは、動物におけるCOIのような高い多型性を示す適切なDNA領域がないため、どの領域をターゲットにするかについて国際的な議論が何年も続いていたが、2009年後半に至りようやく、葉緑体DNA上の2つの領域(rbcLとmatK)を国際基準としてのフレームワークにすることで合意に達した。このコアとなる2領域に加えて、さらに詳細に識別する必要のある場合には、いくつかの領域(trnH-psbAなど)が推奨されている。植物のうちでも、草本植物は非常に多くの種数があるため、特定の分類群にしぼった収集と解析が始められる動きはあるが、まずは草本よりも、種数が少なく個体サイズの大きい木本植物に的を絞って収集と解析を進める動きのほうが活発である。

著者らのグループでは、日本産樹木(1,000数百種とも言われる)を対象とするDNAバーコーディングを目的として、試料の収集と解析を進めている。過去に収集したものを含めて、国内20数カ所、約3,500個体、約750種・亜種・変種の試料を収集し、さく葉標本として保存し、DNA抽出を行っている。上記の領域のうち、まずrbcLとtrnH-psbAについて塩基配列の解析を行っている。本講演では、これらの収集および解析の進捗状況について、概要を紹介する。


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