| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(口頭発表) C2-09

韓国洛東江河畔ヤナギ林の分布と群落分類体系

*大野啓一(横国大・院・環情), 宋 鍾碩(韓国・安東大), 比嘉基紀(森林総研)

演者らは,韓国中等部を南北に流れる洛東江の河畔に発達するヤナギ林を対象に植物社会学的植生調査を実施し,ヤナギ林を下記の3群集2群落に分類するとともに,その上級単位として1群団1オーダー1クラスを認めた.

〔群集・群落〕1)ヤマアゼスゲ-ネコヤナギ群集(仮称):本群集は,ネコヤナギ,コリヤナギ,ヤマアゼスゲを識別種として区分されるヤナギ低木林で,源流域の太白山山麓の山間渓畔を中心に分布する.2)コウライヤナギ群集(仮称):本群集は,コウライヤナギを識別種として区分されるヤナギ高木林で,扇状地形の発達する上流域,自然堤防の見られる中流域,沖積平野や三角州が形成された下流域から河口域まで広範に分布する.3)ヤガミスゲ-タチヤナギ群集(仮称):本群集は,タチヤナギ,チョウセンオノエヤナギ,ヤガミスゲを識別種として区分されるヤナギ亜高木林で,中流域の自然堤防帯から下流域の三角州まで分布する.4)タチネコヤナギ群落:本群落は,タチネコヤナギ,イチゴツナギを区分種として識別されるヤナギ低木林で,扇状地内の低水路沿いや自然堤防帯に形成されたワンド内の水辺に発達する.5)カワヤナギ群落:本群落は,カワヤナギを識別種として区分されるヤナギ低木林で,下流域のみに分布する.

〔上級単位〕洛東江に分布するヤナギ林の上級単位として,群団レベルでは日本のネコヤナギ群団に対応するヤマアゼスゲ-ネコヤナギ群団(仮称)と,同じくタチヤナギ群団に対応するヤガミスゲ-タチヤナギ群団(仮称)を認めた.さらに上記2群団は,コウライヤナギ,コウライシダレヤナギなどを識別種として,タチヤナギ-コウライヤナギオーダー(仮称:日本のコモチマンネングサ-タチヤナギオーダーに対応)およびタチヤナギ-コウライヤナギクラス(仮称:日本のオノエヤナギクラスに対応)にまとめられた.


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