| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(口頭発表) D2-09
生息地が削減され孤立した地域において、その後長期にわたって種数が減少する過程は J. Diamond(1972)によって初めて議論された。この種数減少プロセスについて、中立モデルを用いた新しい公式を導いた。
仮定:個体のサイトがあり、各個体はランダムに枯死しその後を以前いた個体のコピーが埋める(連続時間モラン過程)。 種の間で 個体を奪い合う状態の間の遷移について、すべての状態を等確率でとる分布が最大固有値 に対応する固有ベクトルである。(注:この固有ベクトルが表す確率分布は、折れ棒モデルの仮定に等しい)。これから、種数は時間とともに次式にもとづいて減少することが導かれる。
S(t)=S0/(1 + Nt/hS0)
ここでhは平均世代時間、 Nは総個体数、S0は初期時点での種数、tは時間である。シミュレーションで確認した。
種数が半減する時間は t50=hN/S0に等しく、種数に反比例し、総個体数に比例する。
MacArthur & Wilsonによる従来の式は、種の絶滅が独立で同等とし種数は時間の指数関数になる。新しい公式では、種数は時間の双曲線関数を描いて減少し、減少は初期には急速でそのあとゆっくりになる。
島や島状に孤立した森林の生息地について、生息する鳥類の種数の減少に関するデータを解析した。100ha-100,000haの範囲で、上記の公式による半減時間の予測 がよく当てはまることが確認された。
Halley, J.M., and Y. Iwasa. 2011. Neutral theory as a predictor of avifaunal extinctions following habitat loss. Proc. Nat. Acad. Sci. USA (in press)