| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(口頭発表) G2-03
多くの生物種から構成される生態系を維持するためには,それらのすべての種が存在する条件下での複雑な種間相互作用を明らかにするだけではなく,ある特定の種が消失することによって,他の種に与える質的および量的な影響を考えることが重要である.このとき,消失することによって他の種への影響が大きいものはキーストーン種と呼ばれる.ネットワーク(またはグラフ)として表現される食物網構造上で,どこに位置している種がキーストーン種であるのかを特定するための先駆的な代表的理論研究として,動的なアプローチ [5, 6] や静的なアプローチ [4] が挙げられる.昨年度の大会では,両者のアプローチを比較検討することによって,これらを統一的に理解するためのひとつの試みをおこなった.本大会では,これらのアプローチの関係について再考した上で,例えば,[3] がおこなったように,ネットワークの特徴を表す中心性との関係性について考察し,[1, 2] が新たに提案している指標に関する比較検討をおこなう.
[1] Jorán F (2009) Phil Trans R Soc B 364: 1733-1741. [2] Jorán F, et al (2009) Ecol Model 220: 2899-2907. [3] Jorán F et al (2008) Ecol Model 216: 75-80. [4] Jorán F et al (1999) Oikos 86: 453-462. [5] Pimm S (1979) Theor Popul Biol 16: 144-158. [6] Pimm S (1980) Oikos 35: 139-149.