| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(口頭発表) G2-11
生物個体は様々なリスク(気候、天敵や病気、他種との競争、資源の流出、さらには資源量の変動、成長速度のばらつき、など)を、生活史戦略を駆使して回避している.そのなかでも、成長速度のばらつきは平均適応度を減少させるという数学による解析結果(Tuljapurker, 1990)が得られている.実際、各生活史パラメータにおける適応度の感度がその分散と負の相関をもつ事が推移行列モデルを用いたデータ解析から得られている(Pfister,1998).しかし、これまで生活史戦略のモデルではばらつきの制御を含むものはあまり見られない.
そこで本研究では、ばらつきの制御を含む生活史過程を確率微分方程式を用いた理論モデルを構築し、推移行列モデルおよび「積分写像モデル」で表された個体群動態との数学的関係を示す中で確率変動を含むEuler-Lotka方程式を構築できることを示す.
次にこれを用いた成長過程の数理モデルによって、周囲の環境の与える死亡率と最適化された成長過程の分散制御との関係から最適成長戦略および繁殖戦略の解析結果を示したい.