| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(口頭発表) I1-01

在来植物の分布パターンと局所プロセスが外来植物の分布拡大に与える影響:パンパスグラス(Cortaderia jubata)を例としたシミュレーションモデルによる解析

横溝裕行(国環研)

現在、カリフォルニアにおいて外来植物であるパンパスグラス(Cortaderia jubata)は生態系に大きな影響を与えていている。そのために分布拡大を抑える事は、生態系保全のために重要な問題となっている。分布拡大を抑えるためには、分布拡大に影響を与える要因を把握する事は大変重要となる。侵略的外来植物の分布拡大速度は、生活史や、種子の分散距離などの外来植物の生態学的特徴だけではなく、生息適地の分布パターンや在来種等との局所的な種間相互作用等にも影響される。在来植物の生息域のエッジ部分では、パンパスグラスの種子を補食する動物の密度が低く、侵入が容易になる。一方、在来植物の生息域内部では種子が地面に定着する確率が低く、種子の捕食者の密度も高いために、侵入に耐性があると考えられる。そのために、在来種の生息域の分断化は、パンパスグラスの分布拡大を促進するといえる。本研究では、パンパスグラスをケーススタディとして、在来種の分布パターン(分断化の程度)や、エッジ効果の大きさ、生存率などの生態学的パラメータの分布拡大速度に与える影響の相対的な重要性を明らかにする。


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