| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-005
シカの採食がおよぼす林床植生への影響に関して、その選択性による種構成の変化についての報告は多くあるが、種構成の変化がもたらす群落特性の変化に関する報告はない。種構成の変化は群落内の光環境や養分環境に変化をもたらし、それによって残された種で構成される群落の特性に何らかの変化が生じている可能性が考えられる。シカの採食は間接効果として群落に何をもたらすのか?この問題に答えるため、北海道大学苫小牧研究林内に2004年から設置された個体数密度の異なるシカ柵プロット(enclosure:35頭/km2,natural:10頭/km2,exclosure)を調査フィールドとし、1)現時点で不嗜好種とされているフッキソウの生育状況に各処理区間で違いが生じているか?2)違いが生じているとしたらどのようなパラメータに関するものなのか?を検証した。
調査デザインについては、全天写真から解析した開空度が処理区間で同程度のrangeになるように選んだ処理区毎21か所のフッキソウ生育ポイントにコドラ―ト(面積:4m2)を設置し、コドラ―ト内に生育するフッキソウについて、本数密度・現存量・地上茎高・地上部/地下部・LMA・葉数・植物体の窒素含有量・植物体各部位についての物質分配率を測定した。また各コドラ―トの環境パラメータとして、Deer line(1.75m)-フッキソウ目線(0.75mで代用)間の開空度の差を全天写真によって測定するとともに、土壌窒素(全・可給態)濃度を測定した。
フッキソウのNicheに変化が生じているかを中心に考察する。