| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-010
新潟県佐渡島は、本州日本海側と比較して植物の分布が特異であることが以前から報告されてきた。本研究は、佐渡島の冷温帯の植物分布が、本州日本海側と比較したときに、どのように位置づけられるかを明らかにすることを目的とする。
新潟県地域で9ヶ所99プロットの植生調査(Braun-Blanquet法)を実施し、クラスター分析を行った。各プロットを水平分布と垂直分布で示した。また、周辺の気象観測所から調査地の気候を調べた。
水平分布は大きく2分され、ブナ林の優占する地域と二次林に分けられた。垂直分布に関しては佐渡が本州側よりも、大きいところで100mほど低い傾向が見られた。また、冷温帯林の優占する各プロットは、冷温帯の定義である暖かさの指数WI=85~45℃・月に必ずしも一致せず、それよりも大きく上回る場所が見られた。
今回は佐渡の冷温帯が島の特異性に加え、従来述べられてきた温量指数やブナの分布下限の定義そのものの再検討を行うことを示唆する結果となった。また、日本海側の冷温帯分布下降が積雪の影響だけでは説明できないことも示した。