| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-087

ハリケーン・カトリーナの生態的後遺症に関する研究Ⅱ -被災地の自生種、侵入種の耐塩性比較ー

*山本福壽,山岸陽輔,小林美咲(鳥取大・農),岩永史子(鳥取大・乾燥地研セ)

ハリケーン・カトリーナの生態的後遺症に関する研究

―被災地の自生種、侵入種の耐塩性比較―

山本福壽、山岸陽輔、小林美咲(鳥取大・農)、岩永史子(鳥取大・乾燥地研セ)

2005年に発生したハリケーン「カトリーナ」はミシシッピ河口域の森林に高潮の被害をもたらした。塩水にさらされた植物はNaイオンの毒性、水欠乏ストレスなどの生理的な影響を受けるが、自生種であるヌマスギ(Taxodium distichum)も多くの個体が枯死した。一方、外来種であるセンダン(Melia azedarach)とナンキンハゼ(Sapium sebiferum)は来襲後に分布域を拡大しており、ミシシッピ湿地林固有の植生に大きな変化が生じている。本研究ではこれら3種の苗木を用いて塩水による土壌冠水下での耐塩性比較を行い、侵入種の分布域拡大の要因を検討した。実験では塩水(NaCl溶液)による冠水実験を春季・夏季の2回行い、各樹種の塩水冠水環境における生理・成長の差異を処理濃度、実験期間、季節について比較した。実験期間は、5月24日から6月25日を春季、9月2日から10月4日を夏季とした。塩水の濃度は0mM、38mM、75mM、150mMの4つの処理区を設置した。処理期間は2週間および4週間である。冠水実験期間中の土壌酸化還元電位の測定とともに、これらの苗木の成長量、乾燥重量、イオン含有量、および浸透圧調節物質であるベタイン類の含有量を比較した。さらにジャスモン酸散布処理が浸透圧調節物質であるベタイン類の蓄積に及ぼす影響を調べた。本研究は平成21-23年度基盤研究B (21405022)の一部を用いて行ったものである。


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