| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-105

地上レーザー計測による樹木パラメータ抽出

加藤 顕(千葉大 園芸),梅木 清(千葉大 園芸),小林 達明(千葉大 園芸)

樹木構造の測定は、フィールドで様々な測量機器を用いて行われてきた。測量機を用いた樹木構造の把握は、機材の使い方やユーザーの経験によって精度が異なり、絶対値として正確な値を得ることは難しい。また風による影響や植物の大きさによって測定が難しい状況になることも多かった。地球温暖化対策の観点から近年注目されている植物の二酸化炭素固定機能を測定するためには、年成長に伴うバイオマス蓄積量の把握が必要であり、これまでの手動の測定精度では測定不可能であった年成長量を正確に定量化する手法が求められる。一方、植物生理学の分野では3次元デジタイザを用いて植物の葉の形態を把握する研究が進み、シュートの形態と光合成速度から樹種別成長モデルが作成されてきている。成長モデルを用いて将来の成長予測を行うには、初期値として正確なシュートの形態を測定しなければならず、そのための効率的なデータ取得方法が必要である。本研究では、3次元デジタイザより高密度かつ高速で3次元データの自動取得ができる地上レーザー測量機(Riegl 社製VZ-400)を用いて樹木形状の詳細な把握を行った。またレーザーデータの表示・シュート測定専用のソフトを開発し、コンピュータの3次元空間上でシュートの形態を容易に測定できるようにした。地上レーザー測量はわずかな違いを絶対値として把握できるため、高密度レーザーデータを用いれば、コンピュータの3次元空間において植物を静止させた状態でシュート形態を測定することが可能となる。さらには、データをアーカイブとして保存しておけるため、経年成長量を簡単かつ正確に測定することもできる。これらの詳細な情報を用いることで、成長モデルによる予測値の精度を高めるとともに、これまで明らかになっていない植物の成長戦略をより詳細に明らかにしていきたい。


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