| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-116
森林群落が行う、水蒸気、CO2等のガス交換プロセスにおいて、抑制因子となる気孔開度等、葉表面の状態の連続的な変動の推定が重要である。しかし葉表面の状態状態を連続的にモニタリングすることは困難であり、離散的なデータからのモデル化が行われている。また樹液流速や葉表面温度等もこの問題に関する代替的なデータとなりうる。本研究ではヒートパルス法を用いた樹液流速を用いて、土壌乾燥に伴う蒸散応答の樹種差の観測を行った結果を示す。
測定は京都府南部、木津川市にある山城試験地(コナラ、ソヨゴ混交林)で行われた。本試験地は基岩が風化花崗岩で形成され、土層深が浅く、また傾斜がきついために特に夏期は乾燥影響が起こりやすい森林である、年平均気温は15.4度であるが夏の日中気温は非常に高く群落上であっても35度を超える。3線式のヒートパルスセンサーを試験森林内のコナラとソヨゴの2樹種に設置し、連続的に樹液流速測定を行った。並行して気象タワー観測による二酸化炭素、顕熱、潜熱等のフラックス観測が行われた。
夏季の降雨後に土壌乾燥に伴う、樹液流速の逓減はコナラにおいて顕著に見られ、ソヨゴでは見られなかった。コナラの樹液流速は降雨後の日数の経過に従い、まず日中の不足分を夜間の吸水によって補償する変動が見られ、その後さらに乾燥が進むと日中の樹液流速ピークの減少が見られた。