| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-165

インドネシア早生樹植林地におけるマメ科・非マメ科間でのN2Oフラックスの比較

*桑島 圭(京大院農) 太田 誠一(京大院農) 石塚 成宏(森林総研) 根田 遼太(京大院農) 川端ちあき(京大院農)

現在、熱帯地域において成長が早く荒廃地への造林が可能な Acacia mangiumをはじめとするマメ科早生樹の植林地が拡大している。このような早生樹植林はまた、その旺盛な成長のためCO2の吸収源としても注目されているが、一方で,マメ科早生樹が土壌窒素循環を拡大させ、主要な温室効果ガスであるN 2 Oの発生量を増加させる可能性が高いという報告もあり、将来熱帯の早生樹植林施業による温暖化緩和技能を充分に発揮するためには有効なN2O抑制法が求められている。そこで本研究では非マメ科樹種であるEucalyptus pellitaならび、マメ科樹種のAcacia mangiumの植林地土壌からのN2Oの発生量を観測した。

試験地はインドネシア南スマトラ州の7年生Acacia mangium植林地、6年生Eucalyptus pellita植林地で行った。この地域は12-3月の多雨期と6-9月の小雨季という雨量の季節変化がみられる。植林地はいずれも2ndローテーションで1ndローテーションはAcacia mangium植林地であった。1つの林地につき6つのチャンバーを設置して、サンプルは2008年の11月から2010年の9月まで採取した。

Eucalyptus pellita植林地から発生するN2Oは年間を通じてAcacia mangium植林地のものより少量であった。特に多雨期ではその差が顕著であった。(Eucalyptus pellita植林地0.03mgN/m2/d~0.99mgN/m2/d、Acacia mangium植林地0.13mgN/m2/d~3.67mgN/m2/d)本試験はどれも植林後10年未満の比較的若い林で行われたが非マメ科樹種への転換によりN2O放出量が早いサイクルで抑制できることがわかった。


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