| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-231
花粉を媒介するイチジクコバチの多くの種では、メスは、ある花のうに潜入し、産卵と授粉をした後、その花のうの中で死んでしまう。しかし、イヌビワコバチを含む一部の種では、メスが、産卵後、再び花のうの外に出てくる。その要因として、「他の花のうに再潜入し、産卵する」、「メスが花のうの中で死ぬことにより、子に不利益(カビ/センチュウ/病気)が生じる」などが考えられている。
本研究では、イヌビワコバチにおいて、1つ目の花のうから出てきたメスが他の花のうに潜入・産卵できるのかに注目し、野外実験を行なった。その結果、ほとんどのメスが1つ目の花のうから出てくるものの、他の花のうに入ることはできなかった。それにもかかわらず、産卵数が極端に少ないメスも花のうから出てきたことから、出てくること自体に何らかの意味があることが示唆された。
また、メスが花のうの中に死骸を残すことが、花のう内でのカビの発生に影響を及ぼすかどうかについて調べた野外実験の結果についても検討する。