| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-069

地表性昆虫と景観構造の関係

*山中聡,赤坂卓美,山浦悠一,中村太士(北大・農)

土地利用の改変による野生動物への影響の解明は、人為景観における種多様性の維持管理において重要なテーマである。人為改変は、野生生物が生息する環境だけでなく、その周囲の環境も同時に変化させており、これらの影響は、種の生態的特性により様々な傾向を示すと考えられる。このため、これらの影響評価は、異なる生態的特性を含む複数の種を用いて、生息するパッチの状態だけでなく、その周辺環境の状態を考慮した広域スケールで把握していくことが求められる。

オサムシ科、シデムシ科等に代表される地表性昆虫は、様々な環境に広く分布しており、その種数は豊富である。また、飛翔可能な種と不可能な種が存在しており、分類群内においても種により多様な移動能力を有している。これらの理由から、地表性昆虫は、人為改変における環境の劣化の指標種としても有効であるとされている。

本研究では、最も改変が著しい景観要素の一つである森林パッチに着目し、人為的改変による景観構造の変化が、地表性昆虫の種構成や個体数に及ぼす影響を明らかにする。調査地は、北海道十勝平野の農地マトリックス内に残存している13地点の防風林、河畔林等の森林パッチとし、ピットフォールトラップにより地表性昆虫を採集した。また、地表性昆虫の種構成や種数に影響を与える環境要因として、各調査地点の森林パッチ面積と、周辺に存在する天然林および人工林の面積などを計測した。

調査の結果、各森林パッチ(計13地点)において、ピットフォールトラップを設置して地表性昆虫を捕獲し、オサムシ科昆虫を34種1534個体、シデムシ科昆虫を10種3055個体捕獲した。

これらの結果を用い、本発表では、森林景観の面積や空間配置が、地表性昆虫の種数や種構成に及ぼす影響について議論する。


日本生態学会