| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-126

ブラジル、ネグロ川上流域およびアマゾン川中流域における熱帯雨林の細根現存量の比較

*野口英之, 諏訪錬平, 梶本卓也, 石塚森吉(森林総研), Cacilda Adélia Sampaio de Souza, Niro Higuchi(ブラジル・国立アマゾン研究所)

地下部の細根は森林の炭素循環の重要な要素であるが、熱帯雨林におけるそれらの現存量や動態についてはまだ十分な知見が得られていない。本研究ではアマゾンの熱帯雨林における炭素動態の調査の一環として、ブラジル・中央アマゾンのネグロ川上流域に位置するサンガブリエル・ダ・カショエラ市近郊の天然林(以下SGC)と、その約800 km下流に位置するアマゾン川中流域・マナウス市近郊のZF-2研究林において直径2 mm以下の細根の現存量を調査した。ZF-2での予備調査では、地表から20 cmまでの深さに8割以上の細根現存量が集中していたため、細根を含む土壌の採取は地表から0-5, 5-10, 10-20 cmの3つの深度で、100ccの円筒形の容器を用いて行った。SGCでは54カ所162点、ZF-2では72カ所216点の試料を採取し、両地域で細根現存量の垂直方向の分布と局所変動を調べ、比較を行った。

単位面積当たりの細根現存量はどちらの地域でも局所的な変動が大きかったが、斜面下部の森林で比較すると、平均値はZF-2 (13.5 ± 2.4 Mg•ha-2) のほうがSGC (7.0 ± 0.3 Mg•ha-2)よりも約2倍程度多かった。表層から深さ5cmまでの細根現存量は両地域でほぼ同程度であったが、表層から5cmよりも深い深度では、SGCでは現存量が顕著に減少していたのに対して、ZF-2ではその減少の度合いが比較的小さかった。SGCでは深さ約5cmを境に土壌の色や物理性が顕著に変化しており、このような土壌条件の変化が細根の垂直方向の分布にも影響していたものと思われる。


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