| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-280
生物集団が新しい環境に遭遇すると、通常生息している環境で観察されるよりも大きな表現型分散が現れる場合がある。このことから、集団内には通常環境において表現型に現れない隠蔽変異が存在しており、それらは環境変動などを通じて顕在化し、表現型の多様性を生み出すことで進化に寄与すると考えられる。これまで我々は個体ベースモデルによるシミュレーションを行い、遺伝子制御ネットワークと環境の相互作用が隠蔽変異の重要な担い手であり、表現型多様性の創出を可能にすることを明らかにしてきた。また、生息環境の異質性と選択圧の強さとい2つの外部要因が、ともに集団内に維持される遺伝的変異を減少させる制約として働く一方で、表現型多様性の創出という観点では異なる影響を与えるということも示唆された。本研究ではこのようにして創出される表現型多様性が新規環境への適応や新奇形質の獲得という形で進化にどう寄与するかを示す。