| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-293

空間構造を取り入れたササ一斉開花枯死の進化モデル

*立木佑弥(九大・シス生), 宮崎祐子(北大・創成),佐竹暁子(北大, JSTさきがけ)

ササ・タケ類は発芽後、数年から数十年以上にわたるの栄養繁殖の後、一度だけ繁殖を行った後に枯死する。なぜこれほどまでに長い栄養繁殖期間を持つのかに関してはまだ完全に明らかになってはいない。

本発表では、一定期間の栄養繁殖期間をもち、種子繁殖後に枯死する仮想的な植物に関して、その栄養繁殖期間の進化モデルを提案したい。システムは、空間構造を考慮した個体ベースモデルを採用した。栄養繁殖期間には、隣接サイトが空いていた時に限り、そのサイトを確率的に占める事ができる。新たに定着した個体は、親のクローンで、生理的統合によってその年齢は親と等しいとした。種子繁殖では、種子は空間全体に一様に散布される。繁殖後、親個体は枯死し、空きサイトができる。空きサイトはまず栄養繁殖によって占められる。栄養繁殖によって占められなかったサイトは、種子によって確率的に占められる。もし、栄養繁殖でも種子繁殖でも占められなかった場合は、そのサイトは空いたまま翌年に持ち越されるとした。また、自然枯死によっても死亡する事があるとした。栄養繁殖、種子繁殖それぞれの効率はパラメータで与えられる。

結果として、栄養繁殖や種子繁殖の効率に応じて、栄養繁殖を全く行わない一年生植物に進化する場合、栄養繁殖期間がとても長くなる場合、その中間の数年や数十年間栄養繁殖をした後、繁殖枯死を行う場合に分けられた。極端に長い栄養繁殖期間を進化させる為には、栄養繁殖の効率が非常に高いか、もしくは、栄養繁殖の効率はある程度高く、種子繁殖の効率が悪い必要があることがわかった。


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