| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P2-294
個体間の空間的な局所的相互作用によって、様々な空間パターンが生じるということは、空間生態学において広く認識されている。特に植物生態学においては、各個体の位置情報(点パターン)データが累積されており、種子の分散や個体間競争といった局所相互作用が空間分布を決める過程を理解する試みに注目が集まっている。
2次元空間モーメントとしての、2個体間の距離に注目した2個体間相関を測ることで、空間中でそれぞれお互いの個体がどのくらい近く分布するかを知ることが可能になる。しかし、湾曲、縞、螺旋といった高次のオーダを要求される空間的構造を特徴量化するには不十分である。そこで特徴的な空間パターンがどのような条件下で出現、維持されるかを調べるため、3個体間からなるトリプレットのスケール(差し渡し)と角度等のトリプレットの形を表す量の分布に注目した解析を行った。結果、様々なテストパターンと個体の位置に相関のない完全な空間的ランダムパターン(CSR)との比較により、角度分布の2山型が、螺旋のように直線でも点でもない曲がった形を定量化する基準となることがわかった。次にCSRに対し、2個体の距離の密度分布が、テストパターンの2個体間の距離の密度分布のグラフに一致するまで1点ずつランダムに動かすのを自動的に繰り返すMetropolis Hastingsのアルゴリズムを作成したところ、初期分布が異なる2つの空間パターンを準備しても、2個体間の距離の密度分布のグラフは等しくなる場合があることがわかった。そこで本発表では、空間的に時折見られる特徴的パターンを定量化するため、3個体間相関関係を考慮することの必要性を説明する。