| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-326

河床粗度と流速による水生昆虫への着底効果(Ⅰ)-水槽実験-

*斎藤 裕美, 木村 仁美, 新谷 彬, 谷野 賢二 (東海大・生物理工)

河川の水の流れと粗度(河床基質)は,水生昆虫の移入率や分布を規定する重要な要因である.とくに,粗度背後に存在する滞留域は流れにのって移動を行う水生昆虫にとって着底場を提供すると考えられる.しかし,この滞留域は河川の流速や粗度により,流れが複雑に変化するため,水生昆虫の着底の十分な研究は行われていない.本研究では,流速と粗度に伴う水の流れが与える水生昆虫の着底効果を明らかにするため,1)数値シミュレーションと流動水槽実験より,基質構造と流速に伴う流况の特徴を調べ,2)流動水槽にて底生動物を模倣した物体(比重0.99~1.00のプラスチック球,以後BB弾と呼ぶ)と水生昆虫を放流し,滞留域に入る確率を求め,その流跡を解析した. 鉛直2次元の数値シミュレーションでは,粗度として高さ6cm,幅10cmの矩形(凸部)を設定し,凸部周辺の流况の解析を行なった.凸部を単体または3個並びで配置し,更に3個並びでは,間隙を3cm,6cm,12cmの3条件とした.上流側の接近流速は,5cm/s,20cm/s,40cm/sの3段階とし,水深は20cmとした.また,流動水槽実験では,凸部はシミュレーションと同じ規格のレンガを用い,レンガの本数,間隙 ならびに接近流速の条件をシミュレーションと同様にし,凸部の周辺流速を1cm(部分的に2cm)間隔の格子点上で測定した. 確率実験は,凸部の間隙を3cm,6cm,12cmの3条件とし,流速を5cmから40cmまでの8条件として、すべての組み合わせについて行った。各実験ともBB弾と水生昆虫(ヒゲナガカワトビケラを使用)100個体を流し,間隙に入る確率を調べた.流跡分析では,BB弾と水生昆虫(遊泳能力の異なる3種類)の流れる様子をデジタルカメラとビデオカメラによって撮影した映像を用いた.本学会では,この研究の結果を発表する.


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