| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-059

中国毛烏素沙地に生育する樹木の浸透調節能

*岡田憲和(鳥大院・農),積山知幸(鳥大院・農),香口成美(鳥大・農),山本福壽(鳥大・農),山中典和(鳥大・乾地研)

中国の北部、内蒙古自治区のオルドス高原には毛烏素沙地という半乾燥地帯が広がっている。毛烏素沙地は半乾燥気候ではあるが、地下水が豊富であり、様々な植生を有していることが知られている。毛烏素沙地では沙漠化対策として、植生を定着させることによる砂丘の固定が行われている。植生を定着させ、維持・管理を行うためには、それぞれの植物の生理生態的情報が不可欠である。半乾燥地帯で生育する植物には、乾燥ストレス、塩ストレスなどの様々な環境ストレスが生じることが考えられる。このような環境ストレス下において植物は水分を吸収することが困難になる。そのためいくつかの植物は、体内に浸透圧調節物質を蓄積することにより水ストレスを回避している。浸透圧調節物質としては、可溶性糖、ベタイン類、糖アルコール、アミノ酸、無機イオンなどが報告されているが、各植物がどの浸透圧調節物質に依存しているかは未解明のままである。本報告は、2008年度と2010年度の毛烏素沙地における現地調査をまとめたものである。2008年度には、油蒿の夜明け前と日中における糖含有量と水分特性を測定した。2010年度には、檸条、沙柳、旱柳の夜明け前と日中における糖含有量と水分特性を測定した。また、新疆楊、油松、障子松、白楡、垂楡の糖含有量と葉における木部圧ポテンシャルの24時間の時間的変化を測定した。2008年度と2010年度調査から、油蒿、檸条、沙柳、旱柳における糖の蓄積と水分特性の関係を考察し、2010年度調査から、新疆楊、油松、障子松、白楡、垂楡、の糖の蓄積と葉における木部圧ポテンシャルの関係を考察した。


日本生態学会