| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-171

Amata属の配偶行動の解析 ~カノコガとキハダカノコ~

近藤勇介(岐大院・昆虫生態),中秀司(鳥取大・害虫制御),土田浩治(岐大・昆虫生態)

カノコガ亜科に属するカノコガ(Amata fortunei)とキハダカノコ(A. germana)は同所的に生息する昼行性の蛾類である。カノコガは早朝(0500-0900)に配偶行動を行い、キハダカノコは夕方(1500-1800)に配偶行動を行っていることが観察されている。カノコガは腹部第一節と第五節に黄帯があり、キハダカノコは腹部第一節から第七節のすべてに黄帯がある。両種とも昼行性であることから、雄は探雌行動の際に視覚的な情報による配偶者認識を行っていると考えられる。

これまでの研究で、カノコガの雄は探雌行動の際に視覚情報を利用していることがわかった。雌に似せた模型を用いて、黄帯の面積を20-80%に増やした場合、カノコガの雄は面積比が大きくなると探雌行動を中断した。この反応は模型の15cm程度の距離で始まっていたことから、カノコガの雄は遠距離の段階では性フェロモンのみを利用しており、近距離(この場合15cm程度)では性フェロモンと視覚情報を併用していると考えられる。

一方で、近縁種であるキハダカノコはその配偶行動の詳細が明らかにされていない。キハダカノコもカノコガと同様に、配偶行動の際に、雌が性フェロモンを分泌している行動が観察されている。そこで、今回はキハダカノコの雄は探雌行動の際に視覚情報を利用しているかを検証した。さらに、どの視覚情報(翅色、黄帯の面積比など)を利用しているか、その詳細を検証した。これらの結果ら、カノコガとキハダカノコの配偶行動における視覚による配偶者認識メカニズムの詳細を考察する。


日本生態学会