| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-HS02
富良野高等学校科学部でコウモリの研究を始めてから8年目になる。主な調査地点は鳥沼公園、山部太陽の里、東京大学北海道演習林、富良野市街地などで調査をおこなってきている。北海道で確認されているコウモリは19種。富良野地方では8種(モモジロコウモリ、ウサギコウモリ、ヒメホオヒゲコウモリ、ヒナコウモリ、チチブコウモリ、コテングコウモリ、テングコウモリ、コキクガシラコウモリ)を確認している。
モモジロコウモリは鳥沼公園、富良野市街地、東京大学北海道演習林など多くの地点で捕獲されているコウモリである。一昨年、鳥沼公園で標識をつけた個体が富良野市街地で捕獲された。このことからモモジロコウモリが鳥沼公園と富良野市街地で共通のねぐらをもっているのではないかと考え、調査をおこなった。かすみ網と捕虫網で捕獲し、標識をつけ放逐し、再捕獲を試みた。しかし、標識をつけた個体の再捕獲はできず鳥沼公園と富良野市街地を結びつけることはできなかった。
そのため市街地に生息するモモジロコウモリの行動調査をおこなった。モモジロコウモリは市街地の雨水排水用のコンクリート製トンネル(高さ0.8m~1.2m)をねぐらとしている。そこから飛び出したコウモリが排水路を飛翔していくため、排水路沿いに飛翔経路を調べた。その結果、トンネルを飛び出したコウモリは排水路沿いに飛翔し、鳥沼公園とは反対方向の空知川へ飛翔していっていることが確認された。このことから鳥沼公園と富良野市街地に生息するモモジロコウモリは夏季には異なる採餌場所を利用していることがあきらかになった。
今後は冬季のねぐらを探し、モモジロコウモリの生態を明らかにしていきたい。