| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P3-HS10
外国から移入されたカメの生態系への影響が心配されている。近年、カミツキガメやワニガメなどがヒトに危害を与える可能性があるということで、特定動物に指定されているが、カメの仲間で生態系への影響を最も懸念されているのはミシシッピアカミミガメである。その理由は、「ミドリガメ」という名で、ペットとして多い時は年間100万匹以上が日本に輸入され、把握できないほど多くの個体が全国各地に生息している状況に陥っているからである。
この状況を踏まえて、その行動を解析し、ミシシッピアカミミガメの在来種のクサガメへの影響を調べることを目指した。方法は、(1)標識再捕法(捕獲個体を標識し、再捕獲できた場所を記録)と(2)テレメトリー法(小型発信器取り付けた個体を受信機で追跡)を使った。調査データから①行動範囲,②移動パターンを解析した。
今回の調査で分かったことは、①現在の両種の生息数の比は約1:1の比にまで至っており、ミシシッピアカミミガメがクサガメを駆逐している状況にある。②ミシシッピアカミミガメの方が行動範囲が広い、③両種ともコンクリート化された水路より、コンクリート化されていない水路を好む傾向があること等が判った。