| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-HS11

希少種ヒナイシドジョウとイシドジョウが好む生息環境

山田裕貴,道内真輝,川中寅生,石丸真也,近藤昌弘,日野直人,西原佑亮,弓立湧也(愛媛大学付属高等学校)

ヒナイシドジョウは2006年に新種として記載されたばかりの、河川にすむ小型のドジョウである。本種が最近まで発見されなかったのは、川の礫底の間隙に住み、驚くとすぐに間隙に隠れ、秋から春までは間隙で冬眠するという特殊な生態によるところが大きい。絶滅が危惧されている本種とイシドジョウの保全のためにも、彼らが好む生息環境について解明することが急務である。

ヒナイシドジョウの生息に適した環境と、その特異性を知るために、ドジョウ、シマドジョウ、イシドジョウ、ヒナイシドジョウを材料に、外部形態の比較と、水槽実験(底質選択・水温選択・流速選択)を行った。その結果、ヒナイシドジョウとイシドジョウはよく似た外部形態、行動特性を持っており、頭や各ひれが小さく、尾が太く、直径20mmの砂利のすき間に潜ることを好むこと等が明らかになった。これに対して、同属であり、同所で同時に採取されたシマドジョウは頭や各ヒレが大きく、水流の早い砂の上に定位することを好むことや、ドジョウは速い水流を避けるために潜っていること等が明らかになった。本発表では、水流と水温に関する実験結果を中心に報告する。


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