| 要旨トップ | ESJ58 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
企画集会 T05 -- 3月8日 14:15-16:15 G 会場
種間競争はニッチや分布を説明するための中心概念とされてきたが、資源をめぐる競争はめったに検出されない。しかし、中立説が主張するように、本当に種間相互作用は群集パターンを説明する上で無力なのだろうか? 繁殖干渉は配偶をめぐる負の種間相互作用を指し、個体数の多いほうの種がますます有利になる正のフィードバックを生み出す。この性質により、資源競争では実現しにくい急速な競争排除も容易にもたらされると予測されている。また、繁殖干渉は機能群や分類群を問わず、近縁種間には普遍的に存在しているはずである。したがって、繁殖干渉の枠組みによって群集パターンを種間相互作用に即しながら統一的に理解できる可能性がある。本集会ではまず、資源競争との個体群生態学的特性の比較、生態的形質置換への影響といった繁殖干渉の理論的な背景を示す。次に、実験動物、被子植物、捕食者など様々な系における生物地理、ニッチ幅、生活史形質の進化を繁殖干渉の観点から示した実証研究を紹介する。以上により、繁殖干渉の枠組みの妥当性と一般性を評価したい。
[T05-1] イントロ:群集生態学の歴史と繁殖干渉
[T05-2] 繁殖干渉によって生じるアリー効果
[T05-3] 生態的形質置換の理論研究
[T05-4] 石垣に登ったイヌノフグリ:外来種の繁殖干渉による在来草本の形質分化・置換
[T05-5] 捕食性テントウムシにおける寄主特殊化の進化
[T05-6] 同所的オオオサムシ亜属種間の体サイズ差の意味:資源分割より優先される生殖隔離
[T05-7] 総括