| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


企画集会 T06-2

ユネスコ・エコパークの世界での活用事例

池田史枝(横国大・環境情報), *比嘉基紀(森林総研)

ユネスコ・エコパーク(生物圏保存地域,Biosphere Reserves)は,発足以降世界的に登録地は増え続け,2010年現在では世界109の国と地域で564サイトが登録されている。しかし,日本国内ではユネスコ・エコパークの認知度は低く,既存の4サイト(志賀高原,白山,大台ケ原・大峰,屋久島)でも3つの機能的役割(保全・持続的開発・学術的支援)が効果的に活用されているとは言い難い。今後,国内でのユネスコ・エコパークの活用および登録を推進するために,諸外国(ドイツ,フランス,ブラジル)における具体的な活用事例を紹介する。

ドイツのSchorfheide-Chorinでは,ユネスコ・エコパーク内で持続的方法で生産されている地産物を地域ブランドとして開発し,持続的開発と自然保護の両立を目指している。Elbe川流域では,渡り鳥の寄留地を確保することにより鳥類の保全と農業の共存が図られている。ユネスコ・エコパークを教材とした学術的支援も活発に行われている。ドイツのRhonでは子ども向けの教育プログラムが,フランスでは教育関係者向けの研修プログラムが開催されている。ブラジルのサンパウロ市Greenbeltでは,貧困層の若者向けに「エコトレーニング」プログラムが開催されている。プログラムの内容は環境教育や持続可能な観光・農業,廃棄物管理など多岐にわたり,受講者の自立の手助けとなっている。それぞれの地域の自然環境および文化や政治・経済的背景は一様ではないが,いくつかの事例は国内のユネスコ・エコパークでも実施可能であろう。


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