| 要旨トップ | ESJ58 自由集会 一覧 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


自由集会 W10 -- 3月9日 18:00−20:00 A 会場

多様な社会寄生の進化ー寄生者はホストをどうやって欺いてきたか?ー

企画者: 大河原恭祐(金沢大・自然システム・生物), 上田恵介(立教大・理・動物)

社会寄生(労働寄生)は動物の最も特異な生活史戦略である。寄生種はホスト(宿主)となる同種あるいは他種の労働力を一方的に搾取、利用して繁殖を行なう。自身で繁殖活動を行なう特徴は退化、欠失している場合が多く、代わりに寄生生活に特殊化した様々な特徴が発達している。社会寄生は節足動物類から脊椎動物類まで広い分類群に渡ってみられる現象であるが、その進化の問題の1つとして、ホスト側に発達しやすい寄生への抵抗的性質に寄生者がどのように適応するかという点が挙げられる。寄生者側にはホストを欺き、より効率的に操作しようとする性質が、ホスト側にはそれを見破り対抗する性質がそれぞれ発達しやすいと考えられる。この“騙し合い“に近い軍拡競争のうえで、なぜ社会寄生は維持、進化できたのだろうか? 本集会では代表的な社会寄生行動である鳥類の托卵行動に関する研究例に加え、アリ類の永続的社会寄生に関する研究例を紹介する。寄生種のホストに対する欺瞞的な操作やホストの対抗戦略について生物群間で比較し、根本的な社会寄生の進化機構について議論を持つことを目的としている。

騙しを見破るテクニック:卵の基準,雛の基準―托卵鳥・宿主の軍拡競争の果てに― 田中啓太(理化学研・脳化学研)

カッコウ研究の限界:温帯ドグマからの脱却 上田恵介(立教大・理・動物)

ヤドリウメマツアリ女王の化学寄生と繁殖行動:ホストの化学防衛線を突破せよ *岡本美里, 一言真人(金沢大・自然科学・生物)

ヤドリvsウメマツアリ:社会寄生アリに対するホストの抵抗的性質について 大河原恭祐(金沢大・自然システム・生物)


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