| 要旨トップ | ESJ58 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨 |
自由集会 W29 -- 3月11日 18:00−20:00 J 会場
北海道では、雄大な自然の中で550万人が生活し経済活動が営まれている。その北海道に回帰するサケは、豊かな自然環境を代表し、一方、多い年では5千万尾が沿岸と河川で漁獲される道内で最も重要な漁業対象種である。河川に遡上し産卵した後のサケの親魚はホッチャレと呼ばれ、かってはその価値が認識されていなかった。しかし、ホッチャレが渓流の生物や陸生動物の食物になり、河畔林の養分となって流域生態系に寄与していることが、近年、河川や森林環境の分野から報告されつつある。この集会では、現在実施しているホッチャレに関する統合的研究を話題提供する。その内容は、野生魚と孵化場由来魚の集団評価、および、実証試験や同位体・微量元素分析による河川・河畔域の生物と水質・土壌環境への影響解析であり、ホッチャレの価値を様々な分野で解明するものである。集会では、サケを北海道における生物多様性の保全と水産業の振興との共生の象徴種として位置付けて討議を深めていきたい。
司会 石川 靖(道総研環境研セ)
趣旨説明 中島美由紀(道総研さけ内水試, 北大・環境)
総括 杉若圭一(道総研さけ内水試)
非放流河川に遡上するサケの集団評価
ホッチャレによる河川・河岸の水質への影響
ホッチャレ中の微量元素の動態
ホッチャレによる河川生物への影響
ヒグマによるサケマスの利用
キタキツネの餌資源利用の推定
ホッチャレ由来の栄養が河畔林生態系に及ぼす影響