| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(口頭発表) B2-22 (Oral presentation)
南部ゴビ砂漠(額済納:エジナ)のオアシスにおける植生とその空間的特性
山村靖夫(茨城大・理)・堀良通(茨城大・理)・陳俊(西北農林科技大)・○塩見正衛(放送大・茨城学セ)
2011年夏、内蒙古自治区西部の乾燥地帯(年降水量<50mm)でオアシス植生の特徴を把握するための調査を行った。黒河支流の河畔に調査地を設定(41°43′N, 100°32′E, 980m asl)、① 河から2.5m、5.5m、22m、100m離れた地点に、川とほぼ平行に50mのラインを4本設け、4個の25cm×25cmの小枠からなる50cm×50cmの枠100個をラインに沿っておいた。調査では小枠内の植物種すべてを記載した。また、ラインごとに、5m間隔で50cm×50cm枠内の地上部バイオマス(AB)、土壌容積含水率(WC)および土壌電気伝導度(EC:塩集積程度)を測定した。さらに、② 河および4本の上記ラインに直交する方向に100mのラインを2本引き、それぞれのラインに沿って1mごとに①と同じ方法で調査を行った。また、10mおきにABとWCを測定した。
WCは河から20m以内の地点では約20%であったが、それ以上離れると1~2%になった。土壌ECは河の近くで約2.5、5m以上離れると>4であった。また、ライン内地点間のECのばらつきは、ECの上昇に伴って大きくなった。これらの結果、出現した植物種も河からの距離にともなって大きく変化した:河から2.5mのライン上では、地上部バイオマスと種数が多く、スゲ属、カヤツリグサ属の植物が多く出現した。河から遠ざかるとECの上昇に伴って地上部バイオマスと種数が減少し、Glycyrrhiza uralensis(甘草)、Calamagrostis epigeios(拂子茅)、Artemisia ordosica(油蒿)が主な出現種となった。