| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) E1-10 (Oral presentation)

北海道東部における初冬のホッチャレ消費者

著者:*鎌内宏光(北大・厚岸),佐藤修一(京大・フィールド),林大輔,岡部芳彦,勝山智憲(京大・北海道),福島慶太郎(京大・フィールド),吉岡歩(京大・上賀茂),佐藤拓哉(京大・次世代),徳地直子(京大・フィールド),仲岡雅裕(北大・厚岸)

高緯度域では遡河動物によって河川に輸送される海由来栄養塩が河川内および河畔域の生物群集に影響を与えているとされる。本研究では北海道東部の森林河川上流部において初冬にシロザケ死骸(約800 kg)を散布し、分解過程初期における消費者を明らかにした。散布直後から多くのカラスが集まったが、摂食は水面上に露出した死骸に限られた。散布1週間後にはオオワシ・オジロワシが出現し、水面下の死骸も摂食した。トビおよびキタキツネも出現したが、撮影回数および痕跡から死骸消費者としての量的寄与は小さいと思われた。散布後約10日でほぼ全ての死骸が消失したが、その間にヒグマは出現しなかった。初冬の北海道東部においては、サケ死骸消費者として中・大型鳥類が重要であると示唆された。散布後も河川水中の栄養塩濃度に変化が無かった事から、サケ死骸として河川に供給される海由来栄養塩は河川から離れた陸域に広域に散布されたと思われた。


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