| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
一般講演(口頭発表) E1-11 (Oral presentation)
LAI(葉面積指数)は純一次生産(NPP)推定の指標として有効であることから,様々な生態系において測定されている.LAI推定法には,葉サンプリングによる直接法(破壊的),葉群内の光の減衰や全天写真画像解析に基づく間接法(非破壊的方法)などがある.演者らはこれまでに,直接法,LAI-2000法,全天写真法を用いてススキ草原のLAIを推定し,葉群増加(成長)期,葉群最大期,出穂期,葉群萎凋期の4期に分け,気象要因との関係を検討してきた(ESJ55,56,57,58).本研究では,Kumeら(2011)による光合成有効放射(PAR)と近赤外光(NIR)に基づくススキ草原のLAI推定を試みた(以下NIR/PAR法と呼ぶ). LAI-2000法とNIR/PAR法によるLAIを比較したところ,葉群増加期〜葉群最大期とそれ以降では,両者の関係は異なっていた.Kumeら(2011)によれば冷温帯林のLAIは,葉群透過光のNIR/PAR比を用いて対数関数で近似されるが,本研究の場合,葉群最大期までは指数関数的であった.ススキ草原の場合,森林と異なり,オープンな状態から成長を開始すること,出穂後は葉とは光学特性が異なる花穂部の割合が多いためその散乱の影響が現れることにより,葉群最大期以前とそれ以降のNIR/PAR比が変化するものと考えられる.