| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) G1-04 (Oral presentation)

新興病原体コイヘルペスウイルスの野生宿主個体群における持続性

*内井喜美子(東大・広域システム),源利文,川端善一郎(地球研)

1990年代に出現した新興病原生物コイヘルペスウイルス(CyHV-3)は、2004年以降、日本各地の湖沼河川に侵入し、野生コイ(Cyprinus carpio)の大量死を引き起こした。琵琶湖では2004年春に10万尾以上のコイがCyHV-3により死亡した。その後、琵琶湖では、大量死を伴うような大規模なCyHV-3発生は確認されていないが、環境中および宿主コイ個体群において、CyHV-3由来DNA量の季節変動が毎年継続して観察されることより、CyHV-3が琵琶湖生態系の中に定着していることが示唆される。特に、CyHV-3に感染したのち免疫獲得により生き残った宿主個体は、重篤な病気の症状が出ないままCyHV-3を体内に保持するキャリアとなっている可能性が高く、すなわち、時としてCyHV-3を体外に放出することで、継続的な感染源として働いていると予想される。本研究では、CyHV-3に対する免疫を獲得した個体におけるCyHV-3活性を遺伝子発現解析により明らかにすることにより、免疫獲得宿主のキャリアとしての役割を評価したので報告する。


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