| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) G1-07 (Oral presentation)

日本に生息する淡水性カメ類の分布特性:ミシシッピアカミミガメは他のカメ類を排除するのか

*谷口真理, 亀崎直樹(須磨水)

西日本の23地域242箇所の池で淡水性カメ類を専用のトラップを用いて捕獲し、外来種ミシシッピアカミミガメ(以下、アカミミガメ)、クサガメ、ニホンイシガメ(以下、イシガメ)3種の分布特性を調べた。242箇所の池の内、カメを10個体以上捕獲した池67箇所において、池ごとに1トラップあたりに捕獲したカメ数(CPT: Catch Per Trap)を種ごとに求めた。CPTは池によりばらつきがあり、アカミミガメは0-14.0、クサガメは0-15.3、イシガメは0-17.0となった。アカミミガメの侵入の程度によって、他種がどのような影響を受けるのかを調べるために、池をアカミミガメのCPTで未確認池(CPT=0)、低侵入池(0<CPT<1)、中侵入池(1≦CPT<2)、高侵入池(2≦CPT)の4階級に分け、階級別にクサガメとイシガメのCPTを求めた。その結果、無(n=21)、低(n=9)、中(n=13)、高侵入池(n=24)におけるCPTは、それぞれクサガメは3.5±3.7、4.7±4.4、2.9±2.5、1.4±1.4、イシガメは2.5±4.3、0.79±1.3、0.86±1.6、0.11±0.41となり、イシガメもクサガメもアカミミガメの密度が高くなると、2種の密度は減少する傾向があることが明らかとなった。特にイシガメはクサガメより顕著に減少した。また、アカミミガメの池ごとの割合の分布を示したところ、0-20%と80-100%にピークがみられ、アカミミガメの割合が低い池と高い池が多く存在した。これはアカミミガメが一旦侵入すると、他種の共存を許さず、急速にアカミミガメの割合が増加することを示していると考えられる。今後、アカミミガメの分布が拡大した場合、他のカメ種が減少し、アカミミガメの割合が高い池が増える可能性がある。


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