| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) G1-10 (Oral presentation)

鹿児島市に生息するマングースの根絶に向けた取組と生態系回復の兆候について

*船越公威,永里 歩美,新井あいか(鹿児島国際大),岡田 滋,鹿児島県マングース調査・防除チーム(鹿児島県環境技術協会)

フイリマングースHerpestes auropunctatusの生息が鹿児島市で確認されて以後、駆除事業が2009年7月から開始されて2年以上を経過した。その後2011年度の防除事業では、通常の捕獲に加えて、捕獲された地域(35メッシュ)を選定し、4メッシュ単位で、1メッシュワナ数40基以上を設置(期間2週間)して集中捕獲(ローラー作戦)が行われた。その結果、2011年2月の成獣雄1頭の捕獲を最後に、今日まで捕獲されていない。一方、マングースと競合していると考えられるイタチやネコの捕獲数が増えている。加えて、捕獲率の高かった中名・喜入地区に自動撮影装置による調査を行ったが、どの地区もマングースの撮影確認はできなかった。また、聞き取り調査等でも生息の確証が得られなかった。以上の結果から、捕獲圧で激減もしくは根絶に近い状況にあると判断された。加えて、2011年冬季1月初旬の例年にない大雪と厳しい冷え込みが続いた(最近10年間で1月の平均気温が最低を記録した)ことで捕獲圧との相乗効果があったと考えられる。鹿児島市産のマングースについて、これまで得られたデータからその生態特性(特に食性や繁殖)も取り上げ、生息域の制限要因などについても言及する予定である。


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