| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) G2-17 (Oral presentation)

西ジャワおよび西スマトラにおける移入種の分布調査

工藤芳文*(鹿大,理工学), Erizal Mukhtar(アンダラス大学), 鈴木英治(鹿大 理工学)

インドネシアの熱帯林は世界的な生物多様性の高い森林であるが、大規模伐採やプランテーションの拡大などにより徐々に失われ、今では非常に深刻な状況である。さらに海外からの移入種が自然植生に侵入、優占することで、現地植生の多様性の低下をもたらしている。そこで今回我々は、森林の分断化が進んだ西ジャワ州の国立公園と、比較的分断が少ない西スマトラで移入種の分布調査を行い、二地域を比較した。研究目的は移入種の生物多様性を低下させる危険性を評価すること、二地域の移入種の種構成の違いを明らかにすることである。西ジャワ州ではハリムン・サラック山国立公園、ゲデ・パンゲランゴ山国立公園、西スマトラではガド山付近の保全林を対象とした。登山道などを50mずつに分けその間を1ポイントとして、道両側それぞれ5m幅の中に存在する移入種の種別の被度と、周囲の植生の最大高、林冠被度を記録した。

西ジャワにおいてClidemia hirtaEupatorium inulifolium は高い優占度と最大頻度を示した。一方Clidemia hirtaClibadium surinamense が西スマトラでは高頻度であった。これらの種は広く散布され幅広い環境下で生育できる種であり、自生種の多様性を衰退させる危険性があるだろう。移入種の種構成をDCAで分析すると、標高の影響が強いことが分かった。しかし、西ジャワと西スマトラの種構成差は説明できず、何らかの別の要因によって地域の違いができていると考えられる。


日本生態学会