| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) G2-20 (Oral presentation)

河口湖湖畔における侵略的外来植物アレチウリの分布

*安田泰輔,中野隆志(山梨県環境科学研究所),久米富士子,竹内雅人,堀 良通(茨城大学・理・生態)

外来種の侵入は生物多様性を脅かす重要な要因の1つであり、また、人間の健康や農林水産業などにも被害を及ぼす可能性が指摘されている。2010年に河口湖湖畔にアレチウリ(Sicyos angulatus L.)の生育が報告された。アレチウリは特定外来生物(環境省 )、日本の侵略的外来種ワースト100(日本生態学会)に指定されており、湖畔の生態系や景観を著しく改変する可能性があるが、湖畔での研究は限られており、分布特性や侵入予測を明らかにすることは湖畔の生態系管理と景観維持に重要である。本研究では、河口湖湖畔におけるアレチウリ駆除の基礎的知見を得るために、アレチウリの分布を記載し、その生育環境を明らかにすることを目的として研究を行った。

調査は河口湖(山梨県富士河口湖町)の湖畔域を調査区として、2010年6~9月に分布調査を行った。得られたデータを20mメッシュのラスター形式へ変換し、アレチウリの在不在マップを作成した。生育環境を明らかにするために、2001年に撮影された空中写真(山梨県)を用いて、目視により土地利用及び植生の状況を判読した。解析は分類木を用いて、応答変数としてアレチウリの在不在を、説明変数の候補は判読結果より抽出した。分類木によって得られたモデルの説明力として、AUCを用いた。

解析対象とした総メッシュ数は1927であり、そのうちアレチウリが出現していたメッシュ数は120であり、湖畔の6.23%に分布していた。分類木の結果(AUC>0.9)より、アレチウリの生育環境として、ヨシ群落の有無が最も影響力のある説明変数として選択された。特に湖畔にヨシ群落が分布し背景に市街地がある場合、背景が森林であるが排水路がある場合には高い確率で分布する傾向が示された。ヨシ群落がない場合でも、背景が市街地と森林の境界(アーバンエッジ)には高い確率でアレチウリの分布が認められた。


日本生態学会